2025.08.13
保健師になるには
「保健師」という職業をご存知でしょうか? 看護師に比べると知名度はやや低いかもしれませんが、保健師は地域や職場、学校など、あらゆる場所で人々の健康を支える重要な専門職です。
近年では、感染症対策や高齢者支援、メンタルヘルス対策など、その役割の重要性が広く注目されるようになっています。
今回は、そんな保健師の仕事内容や資格取得の方法、活躍の場について、わかりやすくご紹介します。
保健師とは

保健師は、地域住民や企業、学校などで健康相談や保健指導、生活習慣の改善支援などを行う「予防医療の専門職」です。
看護師と同様の医療知識を持ちながら、病気の「治療」ではなく、「予防」と「健康維持」を目的とした活動を行います。
主な勤務先には以下のような場所があります:
●保健所や市町村の地域保健センター
●学校(養護教諭とは別職種)
●一般企業の健康管理室(産業保健師)
●医療機関や訪問看護ステーション
最近では、自宅療養者や高齢者を対象とした在宅訪問による健康支援も増えており、感染症対策や介護予防の観点から、保健師の役割はますます広がっています。
保健師には、健康に関する多様な問題に対応するための幅広い知識と柔軟な対応力が求められます。
身体の健康だけでなく、こころのケアや社会的背景にも配慮した支援が必要とされるため、まさに「生活に寄り添う専門職」と言える存在です。
必要な条件や資格、スキル

保健師として働くには、「保健師国家試験」に合格し、厚生労働省から資格を取得する必要があります。
そのためには、事前にいくつかの受験資格の条件を満たさなければなりません。
受験資格を得るための主な条件
まず大前提として、看護師の資格をすでに取得していることが必要です。
そのうえで、以下のいずれかのルートで保健師に必要な専門教育を受けることが義務づけられています:
● 文部科学大臣指定の学校で1年以上、保健師養成課程を修了した者
(例:大学の看護学部内にある保健師別科など)
● 厚生労働大臣指定の保健師養成所を卒業した者
(例:看護師養成校に併設された保健師専攻科など)
看護大学での一括取得ルート
また、4年制の看護大学では、在学中に看護師と保健師の両方のカリキュラムを修了できる場合があります。
この場合、卒業時に看護師国家試験と保健師国家試験の両方の受験資格を得ることができ、効率的にダブルライセンスを目指すことが可能です。
保健師国家試験の内容

保健師国家試験は、しっかりとカリキュラムに沿って学習していれば、合格が十分に狙える試験です。
実際に、現在も概ね80~90%台の水準で推移しています。
そのため、将来のキャリアを広げる目的で、看護師や介護福祉士を目指す学生があわせて保健師の資格取得を目指すケースも増えています。
保健師国家試験の主な出題科目
保健師は、「治療」ではなく「予防」と「健康づくり」が主な役割となるため、国家試験もそうした視点を重視した科目で構成されています。
●地域看護学:地域の住民の生活と医療をつなぎ、予防活動や健康支援を行うための基礎知識
●疫学・保健統計:疾病予防や健康管理を科学的に理解するための統計的手法と疫学的知識
●保健福祉行政論:保健所・自治体・医療政策の仕組みや、今後の医療制度を支える法制度・組織論
これらの内容は、保健師が現場で的確な判断と対応を行うための基礎となる重要分野です。
試験形式
国家試験は、主に筆記試験で構成されています。
※一部、実技(実践的応用力)に関する出題を含む設問もありますが、現在は実技試験としての別実施は行われていません(2025年時点)。
どんな人が保健師を目指す?

保健師には主に以下のような種類があり、それぞれ異なるフィールドで活躍しています。
●地域保健師(自治体・保健所などで住民の健康支援を担当)
●学校保健師(児童・生徒の健康管理や心のケアを行う)
●産業保健師(企業で働く人のメンタル・フィジカル両面のサポートを担う)
どの分野であっても、保健師は常に「人と向き合う」仕事です。
子どもから高齢者まで、幅広い年代の人々と接しながら、健康に関する悩みを受け止め、的確なアドバイスや支援を行う必要があります。
看護師から保健師へ転職する人も多数
看護師としての実務経験を積んだ後、より広い視点で地域や社会に貢献したいと考え、保健師へ転職を目指す人も多くいます。
ただし、2025年現在も保健師の求人倍率は比較的高めで、特に自治体の地域保健師の募集は限られているため、希望するポジションに就くまでに時間がかかる場合もあります。
実際には、看護師として勤務を続けながら保健師求人を待つケースも少なくありません。
まとめ
保健師は、「病気になる前の支援」を通じて、人々が健康で安心して暮らし続ける社会を支える大切な存在です。
健康管理や生活習慣の改善に関心がある方、人との関わりを大切にしたい方は、保健師という選択肢をぜひ検討してみてはいかがでしょうか。
