2025.06.23
看護師からケアマネージャーになるには
看護師としての経験を活かし、次のキャリアステップとして注目されているのが「介護支援専門員(ケアマネジャー)」という道です。
ケアマネジャーは、介護が必要な高齢者やそのご家族に対して、ケアプランの作成やサービスの調整を行う、介護分野の専門職です。
高齢化が一段と進んだ2025年現在、地域包括ケアの中心的な役割を担う存在として、ますますその重要性が高まっています。
今回は、ケアマネジャーになるための資格要件や仕事内容について、詳しくご紹介します。
ケアマネジャーの仕事内容

ケアマネジャー(介護支援専門員)の主な役割は、介護を必要とする方のケアプラン(介護サービス計画)を作成し、サービスの調整・管理を行うことです。
介護サービスを実際に提供する事業者とも密に連携しながら、利用者一人ひとりの状況に合った最適な支援をコーディネートします。
介護サービスの利用者は、身体状況・生活環境・家族構成などがそれぞれ異なります。
そのため、利用者やそのご家族としっかりと対話を重ね、個々に適したケアプランの作成や、必要に応じた医療機関・福祉施設の紹介を行うのが、ケアマネジャーの重要な使命です。
ケアマネジャーの主な業務内容
●要介護者およびご家族の現状把握とニーズ分析
●適切な介護サービスを組み合わせたケアプランの作成
●介護施設や訪問介護事業者との連絡・調整・会議
●要介護者宅への定期訪問とヒアリング(モニタリング)
●利用中サービスの内容調整や変更提案
求められるスキル
ケアマネジャーには、介護や福祉に関する専門知識はもちろん、以下のようなヒューマンスキルも非常に重要です。
●コミュニケーション力:要介護者や家族の不安をくみ取り、信頼関係を築く
●調整力と交渉力:多職種と連携しながら、最適なサービスを調整
●問題解決力と提案力:現場の課題に気づき、改善策を示す
現在、超高齢社会の進展とともに、在宅療養・独居高齢者・介護離職といった複雑なケースも増えています。
ケアマネジャーは、こうした多様な課題に対応するための地域支援の中核的存在として期待されています。
ケアマネジャーに必要な資格

ケアマネジャーとして働くためには、「介護支援専門員(ケアマネジャー)」の資格取得が必要です。
これは国家資格ではありませんが、都道府県が実施する試験・研修を経て認定される、公的な専門資格です。
取得までの流れ
1.受験資格の確認
以下のいずれかの職種で、福祉・医療・介護分野における実務経験が通算5年以上(かつ従事日数900日以上)あることが必要です。
- 看護師
- 介護福祉士
- 社会福祉士
- 理学療法士、作業療法士
- 保健師、助産師 など
2.介護支援専門員実務研修受講試験(ケアマネ試験)に合格
この試験は各都道府県が年1回程度実施し、合格率はおおむね10~20%前後とやや難関です。
3.介護支援専門員実務研修の受講(32時間以上)
試験合格者は、32時間以上の指定研修(座学・演習・実地実習を含む)を受けます。
研修期間は通常2~3ヶ月間に分けて実施されます。
4.レポート提出と最終評価
研修終了時に、指定されたレポートを提出し、内容に基づいて最終的な合否が判断されます。
5.「介護支援専門員証」の交付と登録
合格者には「介護支援専門員証」が交付され、晴れてケアマネジャーとして活動可能となります。
看護師からケアマネジャーへ

看護師からケアマネジャーへの転身を目指すには、看護師としての実務経験が5年以上あることが前提となります。
そのうえで、「介護支援専門員実務研修受講試験(通称:ケアマネ試験)」に合格し、所定の研修を修了することで資格を取得できます。
ケアマネジャーは、医療・介護の知識を融合させながら、介護を必要とする方の暮らしを支える専門職です。
看護師として培った医療的視点や観察力は、ケアプラン作成や介護サービスの調整業務において大きな強みになります。
また、看護師に加えて、栄養学・リハビリ・福祉制度に関する知識も備えておくと、より包括的な支援が可能になります。
将来的な活躍の場を広げるためにも、こうしたスキルを積極的に身につけていくことが望ましいでしょう。
さらに、ケアマネジャーの仕事では、介護事業者、医師、薬剤師、リハビリスタッフなどとの連携が欠かせません。
在職中からこうした関係者との人脈やネットワークづくりを意識しておくことで、スムーズなキャリア移行につながります。
2025年現在、高齢化がさらに進む中で、ケアマネジャーの需要は全国的に増加傾向にあります。
看護師としての経験を活かしながら、地域医療や介護の現場で新たな役割を担いたい方にとって、非常に有望なキャリアパスのひとつと言えるでしょう。
地域医療とキャリアの可能性を広げる看護師の新たな一歩

2025年現在、医療・介護を取り巻く環境は大きく変化しています。
病院での入院期間は短期化し、在宅療養や地域医療のニーズがますます高まる中、看護師の活躍の場も拡大しています。
病棟で患者さんの入退院に寄り添うプライマリーナーシング、在宅で医療を支える訪問看護師、そして専門的知識を活かして地域に貢献する認定看護師など、多様な働き方が求められています。
さらに、看護師としての経験を活かして、ケアマネジャーとして地域包括ケアの中核を担う選択肢も注目されています。
高齢化が進む社会において、医療・福祉の知識を融合させたケアマネジャーは、今後ますます必要とされる存在です。
キャリアを積み重ねる中で、自分の専門性を深め、地域に貢献したいという思いを持つ看護師にとって、専門資格の取得や他職種との連携、知識の拡充は非常に重要な要素です。
今後も医療の現場における「看護師の力」が、患者さんやその家族、そして地域全体の安心と健康を支えていくでしょう。
未来を見据えて、今、自分の看護を見つめ直すことが、新たなキャリアとやりがいにつながる第一歩です。
