2025.05.14
看護師から認定看護師になるには
看護師がキャリアアップを目指す際、多くの方が認定看護師の資格取得を選択肢の一つとして考えています。
認定看護師は、専門看護師に比べて取得しやすいと言われており、将来的に専門看護師を目指すためのステップとしても位置づけられる資格です。
実践的なスキルを高め、特定の分野で専門性を発揮したい方に適しています。
認定看護師の概要

認定看護師とは、日本看護協会により認定され、特定の看護分野において高度な知識と技術を駆使して実践できる看護師を指します。
必要な教育課程を修了したうえで、看護の専門性を活かし、以下の3つの役割を担っています。
●実践
特定分野において熟練した看護技術を用い、質の高い看護を提供します。
●指導
看護実践を通して、他の看護者に対して専門的な指導を行います。
●相談(コンサルテーション)
看護者が抱える課題に対し、専門的な見地から助言・支援を行います。
認定看護師は、現場で即戦力となる実践的なスキルを持ち、チーム医療の質向上にも大きく貢献しています。
認定看護師になるための資格と条件

認定看護師になるには、まず以下のいずれかの国家資格が必要です。
●看護師
●保健師
●助産師
特に看護師資格を持っている場合、認定看護師を目指すためには以下の要件を満たす必要があります。
1. 実務経験
●通算5年以上の臨床経験
●そのうち認定看護分野での実務経験が3年以上必要です
2. 教育課程の修了
●日本看護協会が指定する認定看護師教育機関にて、
●6ヶ月間(615時間以上)の教育課程を修了すること
3. 認定試験の合格
●教育課程修了後、筆記による認定審査試験を受験
●合格者には認定証が交付され、正式に認定看護師として登録されます
4. 認定資格の更新
●認定資格は5年ごとに更新が必要です
●更新には、看護実践・自己研鑽に関する実績の書類審査を受け、一定の基準を満たすことが求められます
なお、資格取得後に該当分野での勤務実績が一定期間ない場合、資格が失効となる可能性があるため注意が必要です。
認定看護分野について

認定看護師が活躍する21の専門分野について、
医療の高度化・専門化が進む中で、特定の分野において高い知識と実践力を持つ認定看護師の存在は、病院内だけでなく地域医療においても欠かせないものとなっています。
2025年現在、以下の21の医療分野が認定看護師の専門領域として定められています。
●緩和ケア
●訪問看護
●不妊症看護
●手術看護
●小児救急看護
●新生児集中ケア
●皮膚・排泄ケア
●がん放射線療法看護
●がん化学療法看護
●がん性疼痛看護
●感染管理
●乳がん看護
●認知症看護
●集中ケア
●糖尿病看護
●透析看護
●摂食・嚥下障害看護
●脳卒中リハビリテーション看護
●慢性呼吸器疾患看護
●慢性心不全看護
これらの分野では、それぞれの疾患や状態に応じた専門的なケアが求められます。
認定看護師は、チーム医療の中核を担いながら、患者さんとその家族に対して高度な看護を提供し、地域住民への予防啓発や教育活動にも貢献しています。
高齢化社会の進行と共に、これらの分野における知識と実践力を持った看護師の需要は今後さらに高まると見込まれています。
認定看護師の働き方

現在、認定看護師の働き方や活動内容は、制度として一律に定められているわけではありません。
そのため、具体的な業務内容や配置場所は、各病院や医療施設の方針やニーズに応じて柔軟に決められています。
多くの現場では、「実践・指導・相談」という認定看護師本来の役割を最大限に発揮できるよう、スタッフ間で話し合いながら運用方針を決めているのが現状です。
認定看護師の活動範囲は、かつてのように病棟に限定されるものではなく、外来、訪問看護ステーション、診療所、地域包括支援センターなど、多岐にわたります。
特に在宅療養や地域包括ケアが進む現在では、地域における連携の中心的存在としての役割も求められるようになっています。
また、医療のチーム化が進んだことで、認定看護師は看護師同士だけでなく、
医師、薬剤師、リハビリスタッフ、ソーシャルワーカーといった多職種と密接に連携しながら、患者さんにとって最善のケアを提供しています。
その中で、専門知識を活かした的確な判断と責任ある対応が求められることから、やりがいのある仕事として評価されています。
今後、認定看護師の専門性をさらに活かすには、施設ごとの役割明確化だけでなく、制度的な支援や教育体制の整備も重要な課題となるでしょう。
